オーストラリアで薬剤師

オーストラリア薬剤師の日常&ローフォドマップライフについて綴っています♪ 

オーストラリア薬剤師の日常生活、薬・健康情報、Low FODMAP dietなどについて綴っています♪

2019年01月

薬を調剤する事を英語で(動詞) diapenseと言います。

処方箋を受け取り、コンピュータにデータを入力すると、用法用量が書かれたラベルが印刷されます。

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黄色の矢印・・・薬の商品名と薬剤名。Noxicidという商品名で、薬はエソメプラゾール。下に用法用量が記載されています。(一日一カプセル)

紫色の矢印・・・値段

緑色の矢印・・・薬局の名前、住所、連絡先

ピンクで消した部分・・・患者さんの名前

ブルーで消した部分・・・処方したドクターの名前

そのラベルを、薬の箱またはボトルに直接貼ります。※白く囲った部分は処方箋に貼ります。
こんな感じです。

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こちらでは薬袋(薬が入っている紙袋で、表に名前と用法用量がかかれているも) はありません。

その際、特に注意が必要な薬には特別なラベルを貼ります。※上の写真、緑矢印部分


例えば、

向精神薬には『 眠気を及ぼす可能性があるため、車や機械の運転は避けること』が書かれた赤いラベル(label 1)
睡眠導入薬には、上記のlabel1の内容に追加で「眠気を及ぼすための薬」であることが書かれている 赤いラベル(label 1a) 
メトロニダゾール(抗生物質)など、アルコールの作用を強めてしまい、酒さ作用のある薬にはアルコールを避けることが書かれているピンクラベル(label 2) 
グレープフルーツと相互作用のある薬には その事が書かれている黄緑色ラベル(label 18)

を貼ります。

その他にも沢山種類があります。薬ごとにどのラベルを貼るか決められており、中でもlabel1とlabel 1aは貼る義務があります。眠気が起こると重大な事故に繋がってしまう可能性があるためです。

上の写真は咳止めシロップのコデイン。
眠気を及ぼすのでlabel 1を貼らなければなりません。

その他のラベルは、貼ったほうがもちろん良いですが、患者さんが同じ薬を長期間服用しており、きちんと理解している場合などは省く場合もあります。

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SSRIのシタロプラムはCITALOPRAM(サイターロプラム)と発音します。ラベルがカラフルで注意を引きやすいですね。

左から

Label 12 めまいを引き起こす可能性があるので注意、label 5 市販薬や他の薬を飲む際は薬剤師に相談をしてください、label 9 急に服用をやめないでください

という事が書かれています。

この学術試験は、以前の記事:日本の薬剤師免許をオーストラリアで使うには②?で書いた、工程の2番目にでてきたプロセスです。

KAPSはThe Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciencesの略で、薬学部で習った知識が問われます。

Paper 1Peper 2 の2部に分かれており、2つ合格する必要があります。

Paper1
Organic chemistry (有機化学)
Physical and inorganic chemistry(pH, 無機化学)
Analytical chemistry(分析化学:吸光度など)
Biochemistry(生物化学)
Medical chemistry(製剤学、吸収・分布・代謝・排泄など)
Biochemical/systemic Pharmacology(薬理)
Chemotherapy(抗がん剤) 
Toxicology(副作用)
Pathophysiology(病理)
General Physiology(生理学)
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Paper 2
Physical Pharmacy(薬剤学の乳液、けん濁液、ゲル化など)
Biopharmaceutics(薬剤学の吸収・分布・代謝・排泄など。計算も入ります)
Pharmacokinetics and Pharmacodynamics(上記同様)
Pharmaceutical microbiology(抗生剤) 
Formulation(錠剤、粉末、座薬、注射剤など)
Calculation
Dosage determination(薬の適用量)
Medical choice(ケーススタディ)
Surgical dressings(包帯の種類、ドラッグデリバリーシステム)
Adverse reactions to drugs (副作用) 
Drug interactions(相互作用)
Drug information(血液検査の数値など)
Managing Minor Ailments(病態のマネージメント)

こうやって書き出したリストみると圧倒されてしまいそうですが、少々被っている内容もあります。

Paper 1は140分、 お昼を挟んでPaper 2も140分。問題数はそれぞれ100問ぐらいです。

コレに合格しなければ、オーストラリアでインターン薬剤師として働く事ができません。

試験対策はどうすれば良いのか?
私の時は、全くと言っていいほど情報がなかったので、独学になってしまいました

なので現在、KAPS試験対策講座を準備中です KAPS試験準備講座 公開中です!
初めは英語での問題文を読むのも苦労するかもしれませんが、徐々にパターンが掴めてきます!

こちらはAMHという❝オーストラリアの医薬品バイブル❞
AMH
あの時はいっぱいいっぱいでできませんでしたが、結構詳しくまとめてあります! 何回も読めば、この本の細かさが分かるはず。


以前の記事:日本の薬剤師免許をオーストラリアで使うには① で、日本の薬剤師免許をオーストラリアで切り替えるためのステップを簡単に書きました。


一般的には、オーストラリアの薬学部(4年間+1年インターンシップ)を無事に終了すれば、オーストラリアの薬剤師になることができます。日本では「国家試験」がありますが、オーストラリアには「国家試験」がありません。ただし、インターンシップ中に試験があり、その試験方法や内容は、州ごとに違います。
(基本的にインターンシップを受けた州で、薬剤師として認定されます。州によって多少法律が違います。でもオーストラリアは州が違っても、薬剤師としての資格は同じなので、オーストラリア内で働くことができます。)

「オーストラリアで薬学部に行き直さないといけないの?」
…大学に行き直さず、海外薬剤師免許をオーストラリア免許に切り替える方法もあります
 オーストラリアは移民にとても寛大な国なのですそのプロセスを、今回は一つずつ詳しく説明していこうと思います。

①Australian Pharmacy Council(APC)のskills assessmentを受ける
オーストラリアの『医療従事者を統括する機関』に、「海外で薬学部を卒業し、資格を得ていることを申請&認めてもらう」プロセスです。
  skilks assessmentの詳細はこちら↓

 要するに、国によっては薬学部が3-4年のところもあり、薬学の内容として不十分な場合があるからです。その基準を満たしているのかを審査してもらいます。ストリームAとBの判定が出るので、その結果によって今後のプロセスが異なっていきます。(日本の場合はストリームAです。)

日本の薬学部の場合は全く問題はありませんが、書類が多いプロセスです。日本の薬学部のシラバス内容を英語で提出したり、英語の卒業証明書なども提出しなければなりません。

②学科試験ーKAPSを受験する
 ①でのアセスメントが下りると、KAPS受験資格が得られます。KAPSとはThe Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciencesの略で、オーストラリアの薬学部5年間分の知識を問われるコンピューターベースのテストです。有機化学から薬理学、計算なども含まれています。
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↑これは申込書(現在はオンライン化しています)

  KAPS試験の詳細はこちら↓

    KAPS試験勉強を効率的に進めるためのオンライン講座こちら

既に本公開しています!

③英語の試験ーOETを受験する
 
OETとはOccupational English Testの略で、医療従事者として必要な医療英語&コミュニケーションスキルを問われる試験です。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つに分かれています。すべての項目でB以上でないといけません。IELTSもありますが、現場で使える英語を学べるので、私はOETの方がおすすめです!

        OETについてはこちら↓


       OETのコツ~合格まで完全網羅したオンライン講座はこちら↓
 

④インターンシップを見つける
 比較的チャンスがあるのは10月あたりです。レジュメを配って、ポジションを探します。多くの薬局はこの時期にインターン薬剤師を探し始めます。それまで薬局でアルバイトをしていたりすれば、中で雇ってもらえる確率も高くなるかもしれません。

⑤インターン薬剤師として登録する
 ②に合格すると、APCから「手紙」が来ます。その手紙は、「これであなたは大学に行き直さなくても、オーストラリアの薬学部を卒業したのと同等レベルであると認めますよ」という証明になります!
その手紙を、さらにPharmacy Board of Australia (PBA)という別の機関に提出し、インターン薬剤師として現場で働けるように番号と名前を登録する必要があります。
これも書類の多いプロセスです。日本の厚生労働省に問い合わせて、薬剤師登録を証明してもらったりしました。
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↑厚生労働省に送った書類。日本で薬剤師であることの証明を厚生労働省から直接、オーストラリアに送付してもらうための申請書です。

⑥インターン薬剤師として一年間、決められた時間をこなす
現場で薬剤師として働きます。調剤してから投薬するまで、指導薬剤師に監査をしてもらわなければ投薬できませんが、薬局のほとんどすべての業務をこなします。この間、インターンプログラムという外部の機関にも所属し、そこから出る課題もこなしていかなければいけません。5-6月には筆記試験、10-11月に口頭試験があります。フルタイムで働き、課題・試験勉強もするという忙しい1年です。

これらを終えると、正式に薬剤師として登録されます。
よく、『オーストラリアで薬学部に行き直そうと考えているのですが・・・』というご相談も頂きます。

ですが、考えてみてください。

皆さんは、すでに薬剤師としてのスキル&知識をお持ちです。
必要なのは、そのスキルがあることを証明することなのです。証明する方法には、大学に行く方法と、大学に行かずにOET&KAPSを受ける方法の二通りあります。そこでわざわざ4-5年かけて大学に行くという選択をするのは、お金も時間も非常に勿体ない選択なのです。

そして何より、皆さんが日本でやってきたことがすべて認められるシステムがオーストラリアにはあります。何も無駄にならないのです

確かにプロセスは短いとは言えませんが、一つずつしっかりやっていけば可能です
少しでも参考になれば嬉しいです。




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以前、インスタでも紹介させていただいた「脱感作療法」について再び触れます
詳しくはこちら↓
私は幼い頃から酷いアトピーと花粉症持ち。遺伝なので仕方ないと諦めていたものの、毎年となるとやはり苦痛です

春だけで はなく、秋の草にも反応するので、体調の良い時期がかなり限られていました。笑
そしてメルボルンに移住した後は、さらに花粉症症状がヒートアップ‌自然が多いからでしょうか? 抗ヒスタミン薬も効かず、ひどい日は喘息のような息苦しさと咳き込みで夜中に起こされるほどに。

このままでは仕事に支障が出る....と今後のことを考えると不安になり、(どんなけワーカホリックなのでしょう。笑) 他に対策はないかどうかを探しました。

そして出会ったのがこの脱感作療法。英語ではdesensitisation therapyといい、オーストラリアではアレルギーの専門医に行って検査〜処方までしてもらいます。

花粉が飛び始める時期よりも前から、少しずつアレルゲンを体内に入れて体を慣らしていくんです。
初めは口の中が少し痒くなったり、皮膚がムズムズしたりすることもありますが、徐々になくなります。

そしてすごいのは、去年は花粉のひどい時期でも、症状がなくて薬をほとんど飲まなかったのです!  正直、今回は自分が実験台で、効果をあまり期待していなかった私。ドクターにも「私のアレルギーを甘く見るなよ!」と、心の中で密かに思っていたのですが、その劇的な効果に完全に覆されました。

私が反応するアレルギーは、杉と草類。杉はメルボルンでは9月頃から、草類は11月頃から始まります。症状は1月頃まで続きます。風が吹くと花粉が目に見えるほど、ものすごい量。これは薬も効かないはず。特に雨が降ると花粉が小さい粉末になって気管支に入り、ひどい喘息様症状を引き起こします。

保険があまり効かないのですが、これは自分への投資だと思っています。アレルギーは治ることはないですが、この方法は唯一、治す方へアプローチしてくれます。この治療のおかげで生活の質が上がりました。花粉症やアレルギーって、かなり日常に影響しますものね。

今年は、習得した日本式鍼のテクニックを自分に試して、どこまで症状が改善するかさらに実験してみようと計画中です! 
もちろん、花粉症の薬の上手な活用方法もありますので気になる方はご連絡ください
これだぁー‌というセルフケア方法を見つけたら、皆さんにシェアしますね

2年に1度、厚生労働省に提出が義務づけられている届け出。
これをしないと免許剥奪...みたいな事にはなりませんが、きちんと届け出ないといけません
オーストラリアに来てから完全に忘れていた私‌ 法規の授業でも国試の時も何度も勉強したのに、頭から完全に抜けていました。

今回はたまたま、別の用事で厚生労働省のホームページを見ていて気づいたという奇跡‌ 日本にいる母に頼んで代理で提出してもらいました

薬剤師会に所属していたり、医療機関で働いていれば通知が来るそうですが、私のように所属していなければ通知も何もなしです。海外にお住まいの方は特に、運転免許証がパスポートの更新も気づいたら期限切れていた...なんてことも。

今後は気をつけないと‌と学びました。

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