法律関係
オーストラリアの処方箋
オーストラリアの処方箋は日本と大きく違うので初めはどういう仕組みなのかわかりませんでした。
クリニックに行くと、このような処方箋をもらいます↓(病院処方箋はまた少し違いますが)
右と左、同じことが書かれていて、真ん中に切り取り線がついています。
薬剤師に処方箋を出す時はこの状態で出し、調剤後に薬剤師が切り離します。右はmedicare copyと呼ばれ、メディケアという『政府の保険機関に提出する用』、左はduplicate と呼ばれており『薬局側のコピー』として保管します。
分かりづらいですよねたまーに知らなくて、勝手に破り片方だけしか持ってこない患者さんがいるのですが、それでは処方箋として認めてもらえないため、調剤できません
さて、この処方箋はヒドロコルチゾンという弱ステロイドのクリーム。湿疹なんかによく処方されます。Qty 50gは 量が50g、No repeatsはリピートは無しという意味。
リピートって何?となるのですが、これが面白いシステムなんです。処方箋にRpt 5 やRpt 2と書かれていることがあります。これは、『あと〇回(数字の回数だけ)この処方内容で薬を買うことができますよ』という、医師からの指示です。Rpt 5なら、この処方箋で後5回分もらえますよ、という意味です。
これができるのは、オーストラリアの処方箋の有効期限が1年もあるからなのですちなみに日本は処方日から4日以内でなければその処方箋は無効です。
ちなみに、依存性のあるS8に属している薬の場合は6ヶ月間有効です。有効期限が切れてしまったら、まだリピートがあったとしてもその処方箋をつかうことはできなくなり、再びドクターかかって処方箋をもらわなければなりません。
このリピート処方箋、とてもややこしいのですが、患者さんにとっては毎回/毎月処方箋をもらうためにドクターに行かなくても良いのでありがたいシステム。
でも患者さんの状態を頻繁にチェックできないため、状態が変化した場合途中でモニターできないのも事実です。
日本は医療費はかかりますが、毎月ドクターに診てもらい、薬や量の変更などモニタリングしやすい環境にあります。
オーストラリアは患者さんの負担は少なくなりますが、副作用や効果のモニタリングがしにくいのが難点だと思います。
ちなみに、リピートがある場合は、
調剤後、左のduplicateの上に、黄色のリピート処方箋が一緒にホチキスでとめたものが患者さんに返却されます。
患者さんが次に薬が欲しい時には、その2枚重なった処方箋を薬局に持って行く必要があるため、お家で大切に保管しておかなければなりません。
どちらかがなくなってしまった場合も、リピート処方箋として無効となってしまうので注意が必要です。
忘れやすい人は、かかりつけ薬局にリピート処方箋を保管してもらうこともできます。
PET/CT ~オーストラリアと日本の医療制度~
ここで、日本とオーストラリアの医療制度を比べてみたいと思います
オーストラリアはGeneral Practitioner (GP)という主治医制度をとっています。何があってもまずかかるのはGP。GPの判断で専門医が必要だとなれば、紹介状が出されます。紹介状をもらったら、後は自分で施設に電話をかけて予約を取ります。紹介状がないとダメだし、その予約がなかなか取れないことも多いので待ち時間が多いのも難点その後、結果を聞くために再度GPに予約を取ります。行ったり来たりの長―い道のりですPET/CTだけではなく、血液検査や超音波検査なども同じです。紹介された専門医が合わないと思えば、セカンドオピニオンとして別のドクターに意見を求めることもできますが、日本と比べて自分で医療を選ぶ自由は少ないという印象です。癌が疑われているのに、予約を取ろうとしたら検査が3か月後…なんてことになったらその間気が気じゃありません。
オーストラリアでPET/CTは、痛みや何かしら癌の疑いがある場合に使います。なのでGPからの紹介状が必須です。予防医学という視点があまりないのです。日本では癌が疑われれば、多くの場合健康保険が適用されます。3割負担で3万円程度の自己負担。オーストラリアでの自己負担は、がんの種類にもより様々です。
日本の良いところは、実費検診ができることこれってすごいなぁーと思います。10万円ほどで全身を調べることができます。
しかも、早い。
全てにおいてスピーディー。
受付の方をはじめ検査技師さんの丁寧な説明と対応に、しみじみと感じた日本のホスピタリティーの凄さ!あんなに深くお辞儀をされると、慣れていない私は申し訳なく思ってしまうほどです
海外からお客さんが検査を受けるために来日するという「メディカルツーリズム」が一時期流行したのも納得できます。
「予防医学」って非常に大事な考え方で、事が起こる前にするもの。何かあってからでは遅いんですよね
ブログを書きながらも結果にドキドキですが、今回受けることができて良かったです。
追記
決して、オーストラリアの医療を悲観しているわけではありません。
オーストラリアは移民の国。世界各国から来た腕のいいドクターも沢山います。様々な患者を診ているからこそ、視点が違うし経験値も多い。
移住してから、日本ではわからなかった(診断されるまでに至らなかった?)私の卵巣の病気、そしてIBSが発覚して最新の栄養学を学ぶ機会を与えてくれたのも、アレルギー治療に挑戦できたのもオーストラリアに来てからです。
ただ、早期発見や治療スピードとなると、日本の医療システムのほうが勝っていると思います。オーストラリアでは自分が気を付けてあげないと、気づくタイミングを逃してしまう危険性が大きいと思います。
以上、PET/CT検査を通して見た医療制度の違いでした。
調剤システムとラベル
薬を調剤する事を英語で(動詞) diapenseと言います。
処方箋を受け取り、コンピュータにデータを入力すると、用法用量が書かれたラベルが印刷されます。
黄色の矢印・・・薬の商品名と薬剤名。Noxicidという商品名で、薬はエソメプラゾール。下に用法用量が記載されています。(一日一カプセル)
紫色の矢印・・・値段
緑色の矢印・・・薬局の名前、住所、連絡先
ピンクで消した部分・・・患者さんの名前
ブルーで消した部分・・・処方したドクターの名前
そのラベルを、薬の箱またはボトルに直接貼ります。※白く囲った部分は処方箋に貼ります。
こんな感じです。
こちらでは薬袋(薬が入っている紙袋で、表に名前と用法用量がかかれているも) はありません。
その際、特に注意が必要な薬には特別なラベルを貼ります。※上の写真、緑矢印部分
例えば、
向精神薬には『 眠気を及ぼす可能性があるため、車や機械の運転は避けること』が書かれた赤いラベル(label 1)
睡眠導入薬には、上記のlabel1の内容に追加で「眠気を及ぼすための薬」であることが書かれている 赤いラベル(label 1a)
メトロニダゾール(抗生物質)など、アルコールの作用を強めてしまい、酒さ作用のある薬にはアルコールを避けることが書かれているピンクラベル(label 2)
グレープフルーツと相互作用のある薬には その事が書かれている黄緑色ラベル(label 18)
を貼ります。
その他にも沢山種類があります。薬ごとにどのラベルを貼るか決められており、中でもlabel1とlabel 1aは貼る義務があります。眠気が起こると重大な事故に繋がってしまう可能性があるためです。
上の写真は咳止めシロップのコデイン。
眠気を及ぼすのでlabel 1を貼らなければなりません。
その他のラベルは、貼ったほうがもちろん良いですが、患者さんが同じ薬を長期間服用しており、きちんと理解している場合などは省く場合もあります。
SSRIのシタロプラムはCITALOPRAM(サイターロプラム)と発音します。ラベルがカラフルで注意を引きやすいですね。
左から
Label 12 めまいを引き起こす可能性があるので注意、label 5 市販薬や他の薬を飲む際は薬剤師に相談をしてください、label 9 急に服用をやめないでください
という事が書かれています。