前回の薬物中毒の治療~ORT~の続きです。
今回は症状にスポットライトを当ててみます。少しだけ英語の単語も入れてみます薬学生の方や医療英語を勉強している方に参考になると嬉しいです。
ストリートドラッグやオピオイド系の薬は、私たちの体にどんな変化を及ぼすのでしょうか?
以下は、『正常な何も問題ない人の体内にオピオイドが入ることで起こる症状』です;
・初期に出る高揚感、その後の無気力感(euphoria→apathy)
・不機嫌になる(dysphoria)
・精神運動性激越/遅滞 (Psychomotor agitation or retardation)・・・不安によって体が過剰に動いたり、逆に動きが遅くなること
・判断障害 (impairment judgment)
これらはオピオイドを使用した直後に起こりますが、実際とても分かりにくい
なので、まずは目を見ます。
・瞳孔収縮 (pupillary constriction)
これが一番の特徴です。ただし、他の薬でも瞳孔収縮が見られる場合もあるため、それに加えて以下3つのうち1つ以上当てはまる場合にオピオイドが入っている状態と判断します。
・眠気、昏睡 (drowsiness or coma)
・ろれつが回らない (slurred speech)
・注意障害や記憶障害 (impairment in attention or memory)
中毒状態の患者さんを「〇〇(someone) is intoxicated」と言います。
薬だけでなく、アルコールで酔っている場合も使えるフレーズです。
患者さんがintoxicatedの場合、薬局でのメサドンやブプレノルフィンの投与はできません
結局、メサドンもブプレノルフィンも、ストリートドラッグと似ていますので、危険になるだけです。
その場合、患者さんに「離脱症状」が起きるまで投与を控えなければなりません。
「離脱症状」を英語で「Withdrawal Symptoms」と言います。
依存している患者さんの場合、体内で薬の量が少なくなると離脱症状が起きます。
オピオイドの離脱症状はこんな感じです;
・不機嫌になる(dysphoric mood)
・吐き気 (nausea or vomiting)
・筋肉痛(muscle pain)
・流涙、鼻水(lacrimation or rhinorrhoea)
・瞳孔散大(pupillary dialation)
・立毛 (piloerection)
・発汗(sweating)
・あくび(yawning)
・発熱 (fever)
・不眠 (insomnia)
このうち3つ以上あり、日常に影響を及ぼしている場合に「離脱症状が出ている」と判断します。この時にメサドンやブプレノルフィンの投与をするのが正解です。
オピオイド系の薬は依存する場合があります。ただし、がんの痛み止めとして使用する場合は、依存を心配する必要はありませんオピオイド系の薬(モルヒネ等)を早めに投与する方がQOLが上がりますので、そのあたりはこの記事の内容と混合しないようにご注意くださいね