現在、世界中で研究されている『大麻 Cannabis』。
その理由は、大麻に含まれている成分が何百種類もあり、それぞれ性質も違い、部位によっては用途も異なるという非常に面白いキャラクターを持っているからなのです。
大麻には、100種類以上のフィトカンナビノイド成分に加えて、400種類以上の有機化合物(テルペン、フラボノイド等)が含まれています。
フィトカンナビノイド成分のうち、最も有名なのが『THC』。大麻による精神への影響は、ほとんどこのTHCによる影響で、違法ドラッグとして世界中で使用されている成分です。大麻は『吸う』のですが、実は加熱をすることで構造内の-COOHが取れ、THCA(前駆体)からTHC(活性型)になり作用を示すからなのですね。
しかし、加熱をすることで約30%のTHCが分解されてしまいます。大麻の成分って、おそらく非常に分解されやすいのでしょう。だから、構造にちょっとの違いが表れ、結果、何百種もの異なった構造を持った成分が検出されるのだと思います。なので加熱すると、活性型として体に吸収されるのは37%までしかないと言われていますが、吸収スピードは早く、1-2分以内に体から大麻が検出されるほどだそうです。THCは脂溶性が非常に高いので、脂肪細胞や脾臓に蓄積されます。
THCは、CB1受容体とCB2受容体の部分刺激薬。CB1受容体は、中枢&末梢神経、特に痛覚神経系に広く分布しています。CB2受容体はミクログリアや細胞上に存在しており、炎症に関与しているようです。
THCがCB1受容体を刺激することで、アデニル酸シクラーゼが不活性化し、cAMPが下がることで向精神作用を表します。
キャナビスは基本的にdepressantですので、体の動きをスローにします。そして、妄想を引き起こすことでも知られていますが、これらの作用はこのTHCによる作用なのです。
フィトカンナビノイド成分のうち、次に有名なのが『CBD』。CBDはCB1受容体に対して、ネガティブ・アロステリックモジュレーターとして作用し、CB2受容体に対しては弱ブロッカーとして作用します。さらにCBDはCB1受容体、CB2受容体以外にも、他の受容体にも作用すると言われています。
なので精神作用よりも、免疫系のモジュレーター作用や、抗炎症作用を発揮すると言われています。
大麻は違法ドラッグですが、厳密な管理下で栽培・収穫・検査・製造された場合は『医療用マリファナ』にカテゴリーされます。植物なので、THCやCBDの含有量や純度が一定でなかったり、肥料や農薬、重金属などの影響を受けて育っているものは、医療用として認められないのです。医療用として使用するためには、これらの厳しい試験に合格しなければなりません。この基準は結構厳しく、医療用として認められるためには大変はプロセスを経なければいけないのです。
現在、オーストラリアではTHCがS8(Drug of dependance)、CBDがS4(医師による処方箋で処方できるカテゴリー)、CBDのうち含有量が60mg以下のものがS3(薬剤師の権限で処方できるカテゴリー)に分類されています。
処方できるのは、
・抗がん剤による吐き気
・てんかん
・MS
・終末期
・癌以外の慢性痛
です。
パーキンソンやアルツハイマーなどの他の疾患についての効果はまだ確立されていませんし、精神性の副作用のために、慢性痛に関してはコデイン系の鎮痛剤の方が安全だという意見もあります。
まだまだ、研究段階。
だからこそ、ドクターも賛成・反対派に分かれるし、保険適応にならないので患者さんの金銭面での負担も大きいです。
(この記事に書いているTHC,CBDの他に、様々な成分が大麻には存在していますが、それらの作用についてはまだ研究段階です。)
オーストラリアではSativexというブランド名の医療用キャナビスがあります。一般名はnabiximols。THCとCBDが1:1の割合で含まれており、興味深いことに両方の作用によってTHCの精神作用が抑えられています。
冒頭に
大麻には、100種類以上のフィトカンナビノイド成分に加えて、400種類以上の有機化合物(テルペン、フラボノイド等)が含まれています。
と書きましたが、1つ1つの成分の性質を明らかにするだけでなく、THCとCBDの混合のように、それぞれの成分を合わせた時に作用がどう変化するか?を追求していく必要があります。
さらには、フィトカンナビノイド成分内での組み合わせだけでなく、フィトカンナビノイドと有機化合物(400種類以上!)との相互作用も考えて行く必要もあります。
だからこそ、世界中で多くの研究がされているのですね。