オーストラリアで薬剤師

オーストラリア薬剤師の日常&ローフォドマップライフについて綴っています♪ 

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メルボルン

以前書いた貧血と婦人科系疾患(こちら

私はその記事にあげた症状とは逆で、経血量も少ないし、不規則でした。

それは長年悩んでいた『多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS、ピコース)』。

卵巣に多数の嚢胞ができ、ホルモン値はバラバラ、排卵は起きず、不妊症の原因第一位を占めるこの疾患。
妊娠できないことをきっかけに発覚することも多いのですが、中にはPMS(月経前症候群)が酷くて検査をし発覚することもあります。

私は後者。
20歳の頃には(違う疾患が原因で)体重が減り、生理はすでに7か月間止まり、不規則もいいところ。

毎年春になるとトリプタン系の薬でも効かないほどの酷い片頭痛で、病院実習前に「大学も顔があるから…」と大学教授からは留年を勧められるほど。

そして吐き気で夜中~明け方に起きてしまうような生活でした。

婦人科系は検査をしても臓器に異常は見つけられず、「体重が減ってしまったから」、「介護と家のこと、勉強でストレスがないわけではなかったため、仕方がないことだ」と思っていました。

PCOSが発覚したのは結婚して間もない26歳の時。
やっぱり体調が悪いのでGPに「PCOSの可能性があるから」ということで紹介状をもらい、オーストラリアの婦人科専門の検査技師さんにエコーしてもらうことになりました。
(今思えば、GPの的確な判断に感謝です)

エコーで小さな卵巣に、左右40個以上も映し出された嚢胞。

まず頭をよぎったのは、旦那、旦那の両親・親せきがどう思うのか。子供は考えていなかったけど、PCOS=不妊の宣言。結婚して間もなく、仕事もない、こんな嫁をもらってしまったことに対してどう思われてしまうのか…。
これをすればいい、なんていう治療法もありません。

同時に、病名がわかってホッとした冷静な自分もいました。
自分の体調不良は、私が精神的に弱いからとか、怠けているからとかではなかった。やっと自分に「ごめんね」と言いました。
どうせストレスが原因だと安易に考え過ぎていて、自分の体が悲鳴をあげているのに気づかないふりをし、鞭をうちつづけてきたことに

ホルモン療法も1年以上やったけど、副作用でやめることを決意。
中医学も生薬もやりました。
低フォドマップ食で制限がある上に、さらに食事を見直し、独自の方法で食事管理を行いました。

結局、『できることからやってみる!』という考え方に落ち着きました。私の場合は、土台を作ることと薬の両方です。

どんな病気でも、絶対初めはどん底に突き落とされたような気分になると思います。でもそれは当然、それが普通です。後はそこから、前を向き始めるステージに来たら、とにかくできることから何でもやってみればいいと思うんです。ここでホルモン療法の副作用とありますが、私は西洋医学を否定しているわけではありません。(別記事参照)

GPからは、もう治らないから検査しても仕方ないと言われ続けて来ました。その上で意を決しての再検査。結果、40個以上もあった嚢胞は消えていました。信じられなくて、本当ですか?と何回も聞きました。

不調は何か大事なことを訴えているサインです体の声を聞いてあげてください。
私のように、ストレスや忙しさを理由に、気づかぬふりをしないでください






貧血の症状はめまい、立ちくらみだけではありません。酸素不足になるため、とにかく体がだるかったり、疲れやすいのも特徴です慢性的な頭痛として表れることもあります

ベジタリアンの食事は鉄不足になりやすく、サプリメントで補う必要があります。また女性は特に月経で鉄不足になりやすい傾向があります。

ただ、そのサプリメントが結構厄介者
鉄剤は多くの場合、 胃もたれや便秘を引き起こしてしまいます。吸収が元々悪いため、錠剤で大量に入れないとダメなのです。鉄剤は3ヶ月ほど継続しないと体の中にたまりません。GPから飲むように言われたけど、続けることが難しいのが現状です

シロップ剤のほうが、消化器への負担が少ないとは言われています。ビタミンCと一緒に摂取すると吸収が上がることはよく知られているため、鉄剤にすでにビタミンCが混ざっている商品が多いです。

鉄不足は血液検査でわかります。
鉄不足と診断されたら、鉄剤を飲むのと同時に、原因を探らなければなりません食事なのか、多月経なのか、その他の理由なのか。
放置すると、案外厄介なのです〜

女性にやっていただきたいのは、多月経かどうかのチェックです。

昼でも夜用のナプキンを使う日が3日以上ある
普通のナプキンでは1時間もたない
経血にレバーのような大きな塊が混じっている
以前より経血量が増え、日数も長くなった

一つでも当てはまると、過多月経かもしれません。
少しくらい経血量が多くても月経だから仕方ないと思ってはいけません。
子宮筋腫や子宮腺筋症は、経血量が多いのが特徴です。子宮内膜症は過多月経を起こす疾患ではありませんが、子宮筋腫や子宮腺筋症を併発するケースが見られます。

ストレスは簡単に月経異常を引き起こします。ストレスは肝に直接影響し、ホルモンバランスが乱れてしまいます。(春は肝が影響を受けやすい時期ですので、今日本にいる皆さんはしっかり休息をとることが重要です!)私の実体験は別の記事で書きますが、仕事が忙しいから、とかストレスがあるのは分かっていて仕方がないから、と私のように安易に考えていてはいけないということをお伝えしたいです。

婦人科系の検査は少し勇気がいりますが、それはみんな一緒です。子宮頸がん検査も含めて、絶対定期的に検査することをお勧めします




この学術試験は、以前の記事:日本の薬剤師免許をオーストラリアで使うには②?で書いた、工程の2番目にでてきたプロセスです。

KAPSはThe Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciencesの略で、薬学部で習った知識が問われます。

Paper 1Peper 2 の2部に分かれており、2つ合格する必要があります。

Paper1
Organic chemistry (有機化学)
Physical and inorganic chemistry(pH, 無機化学)
Analytical chemistry(分析化学:吸光度など)
Biochemistry(生物化学)
Medical chemistry(製剤学、吸収・分布・代謝・排泄など)
Biochemical/systemic Pharmacology(薬理)
Chemotherapy(抗がん剤) 
Toxicology(副作用)
Pathophysiology(病理)
General Physiology(生理学)
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Paper 2
Physical Pharmacy(薬剤学の乳液、けん濁液、ゲル化など)
Biopharmaceutics(薬剤学の吸収・分布・代謝・排泄など。計算も入ります)
Pharmacokinetics and Pharmacodynamics(上記同様)
Pharmaceutical microbiology(抗生剤) 
Formulation(錠剤、粉末、座薬、注射剤など)
Calculation
Dosage determination(薬の適用量)
Medical choice(ケーススタディ)
Surgical dressings(包帯の種類、ドラッグデリバリーシステム)
Adverse reactions to drugs (副作用) 
Drug interactions(相互作用)
Drug information(血液検査の数値など)
Managing Minor Ailments(病態のマネージメント)

こうやって書き出したリストみると圧倒されてしまいそうですが、少々被っている内容もあります。

Paper 1は140分、 お昼を挟んでPaper 2も140分。問題数はそれぞれ100問ぐらいです。

コレに合格しなければ、オーストラリアでインターン薬剤師として働く事ができません。

試験対策はどうすれば良いのか?
私の時は、全くと言っていいほど情報がなかったので、独学になってしまいました

なので現在、KAPS試験対策講座を準備中です KAPS試験準備講座 公開中です!
初めは英語での問題文を読むのも苦労するかもしれませんが、徐々にパターンが掴めてきます!

こちらはAMHという❝オーストラリアの医薬品バイブル❞
AMH
あの時はいっぱいいっぱいでできませんでしたが、結構詳しくまとめてあります! 何回も読めば、この本の細かさが分かるはず。


以前の記事:日本の薬剤師免許をオーストラリアで使うには① で、日本の薬剤師免許をオーストラリアで切り替えるためのステップを簡単に書きました。


一般的には、オーストラリアの薬学部(4年間+1年インターンシップ)を無事に終了すれば、オーストラリアの薬剤師になることができます。日本では「国家試験」がありますが、オーストラリアには「国家試験」がありません。ただし、インターンシップ中に試験があり、その試験方法や内容は、州ごとに違います。
(基本的にインターンシップを受けた州で、薬剤師として認定されます。州によって多少法律が違います。でもオーストラリアは州が違っても、薬剤師としての資格は同じなので、オーストラリア内で働くことができます。)

「オーストラリアで薬学部に行き直さないといけないの?」
…大学に行き直さず、海外薬剤師免許をオーストラリア免許に切り替える方法もあります
 オーストラリアは移民にとても寛大な国なのですそのプロセスを、今回は一つずつ詳しく説明していこうと思います。

①Australian Pharmacy Council(APC)のskills assessmentを受ける
オーストラリアの『医療従事者を統括する機関』に、「海外で薬学部を卒業し、資格を得ていることを申請&認めてもらう」プロセスです。
  skilks assessmentの詳細はこちら↓

 要するに、国によっては薬学部が3-4年のところもあり、薬学の内容として不十分な場合があるからです。その基準を満たしているのかを審査してもらいます。ストリームAとBの判定が出るので、その結果によって今後のプロセスが異なっていきます。(日本の場合はストリームAです。)

日本の薬学部の場合は全く問題はありませんが、書類が多いプロセスです。日本の薬学部のシラバス内容を英語で提出したり、英語の卒業証明書なども提出しなければなりません。

②学科試験ーKAPSを受験する
 ①でのアセスメントが下りると、KAPS受験資格が得られます。KAPSとはThe Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciencesの略で、オーストラリアの薬学部5年間分の知識を問われるコンピューターベースのテストです。有機化学から薬理学、計算なども含まれています。
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↑これは申込書(現在はオンライン化しています)

  KAPS試験の詳細はこちら↓

    KAPS試験勉強を効率的に進めるためのオンライン講座こちら

既に本公開しています!

③英語の試験ーOETを受験する
 
OETとはOccupational English Testの略で、医療従事者として必要な医療英語&コミュニケーションスキルを問われる試験です。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つに分かれています。すべての項目でB以上でないといけません。IELTSもありますが、現場で使える英語を学べるので、私はOETの方がおすすめです!

        OETについてはこちら↓


       OETのコツ~合格まで完全網羅したオンライン講座はこちら↓
 

④インターンシップを見つける
 比較的チャンスがあるのは10月あたりです。レジュメを配って、ポジションを探します。多くの薬局はこの時期にインターン薬剤師を探し始めます。それまで薬局でアルバイトをしていたりすれば、中で雇ってもらえる確率も高くなるかもしれません。

⑤インターン薬剤師として登録する
 ②に合格すると、APCから「手紙」が来ます。その手紙は、「これであなたは大学に行き直さなくても、オーストラリアの薬学部を卒業したのと同等レベルであると認めますよ」という証明になります!
その手紙を、さらにPharmacy Board of Australia (PBA)という別の機関に提出し、インターン薬剤師として現場で働けるように番号と名前を登録する必要があります。
これも書類の多いプロセスです。日本の厚生労働省に問い合わせて、薬剤師登録を証明してもらったりしました。
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↑厚生労働省に送った書類。日本で薬剤師であることの証明を厚生労働省から直接、オーストラリアに送付してもらうための申請書です。

⑥インターン薬剤師として一年間、決められた時間をこなす
現場で薬剤師として働きます。調剤してから投薬するまで、指導薬剤師に監査をしてもらわなければ投薬できませんが、薬局のほとんどすべての業務をこなします。この間、インターンプログラムという外部の機関にも所属し、そこから出る課題もこなしていかなければいけません。5-6月には筆記試験、10-11月に口頭試験があります。フルタイムで働き、課題・試験勉強もするという忙しい1年です。

これらを終えると、正式に薬剤師として登録されます。
よく、『オーストラリアで薬学部に行き直そうと考えているのですが・・・』というご相談も頂きます。

ですが、考えてみてください。

皆さんは、すでに薬剤師としてのスキル&知識をお持ちです。
必要なのは、そのスキルがあることを証明することなのです。証明する方法には、大学に行く方法と、大学に行かずにOET&KAPSを受ける方法の二通りあります。そこでわざわざ4-5年かけて大学に行くという選択をするのは、お金も時間も非常に勿体ない選択なのです。

そして何より、皆さんが日本でやってきたことがすべて認められるシステムがオーストラリアにはあります。何も無駄にならないのです

確かにプロセスは短いとは言えませんが、一つずつしっかりやっていけば可能です
少しでも参考になれば嬉しいです。




LINEオフィシャルでは、これから海外を目指す薬剤師さん向けに役立つ情報発信(イベント情報など)をしています

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明けましておめでとうございます🎍✨
早朝、私は近くの公園まで一時間程ウォーキングし、新鮮な空気をいーっぱい吸ってきました🌿今年どうしよう?よりも、去年の一年間に対する感謝の気持ちが込み上げてきました。

こうやって平和に今日を迎えることができること、移住した当初にあった孤独感を乗り越えて、メルボルンが好きになっている自分がいること・・・全てに感謝です。

この感謝の気持ちを忘れずに生きたい。
そして、もっと五感を研ぎ澄まして毎日を生きたい。

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夕食後、ビーチへドライブ&散歩し、サンセットを見てきました。年越しそばも、初詣も、お雑煮も、おせち料理も何も正月らしいことはしていませんが、気分はお正月🎍
今年はやりたいことが沢山あります。

皆さんはどんな一年をクリエイトしますか?

一時帰国まであと2週間と少し❣️ということにまだ実感がありません・・・



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