かなり久しぶりに一時帰国しましたー仕事が忙しすぎて、2年以上休みを取っていなかったので、今回は両親に会うのも本当に久しぶりです。

帰国早々、今回の帰国の大イベントの一つ、PET/CTを受けてきましたPET/CTはがんを診るための検査。普通の画像診断では映らない、まだ小さい癌まで発見できます

今回は‌大阪にある有名なPET画像診断センター 森ノ宮クリニックで受けました。画像診断は機械だけじゃなく、画像を細かく読み取ることができる専門医がいるところを選択することが大切、だと私は思っています。

日本人の2人に1人は「がん」という事実信じられないかも知れませんが、他人事ではありません知り合いや家族ががんになって初めて自分も調べなきゃ!と思う人がほとんどではないでしょうか。

私は学生時代に祖父をがんで亡くし、闘病生活、介護、最期の在宅療法まで全てを見てきました。そして祖母が重度アルツハイマーというダブル介護。

そして2年前、風邪も引かないような健康な親戚のおばが胃癌になり、発見された時はステージ4。昨年末に未成年の子供達を残して他界。

同い年のアメリカ出身の友人も、健康体で検査や病院とは無縁の人生だったのに、急な痛みで救急搬送、子供が生まれたばかりなのに末期という辛い宣告...

本当に他人事ではないんですよね。
本人も辛いですし、家族も本当に辛い。家族の人生をガラリと変えてしまいます。
わたしの周りで経験している人は、驚くことに健康に自信があった人が多いんです。だから発見が遅れてしまいました。
私は、周りの家族を悲しませたくない....なので日本に帰ったら絶対検査することにしていました。

私は大学卒業後、一時期がんの研究に携わっていおり、『早期発見』の大切さ、それより前の『予防医学』の大切さを実感しました。予防できれば理想‌予防できなくても早期発見できれば、選択肢も多く対処できるだから検査って大事なのです。

PET(Positron Emission Tomography)検査とは、「陽電子放射断層撮影装置」を用いた検査のことで、腫瘍組織や心臓・脳などの働きを断層画像としてとらえる検査方法です。

この検査ではポジトロン(陽電子)を放出する薬剤を静脈から注射し、がんに集積した微量の放射線を測定します。

最近では、このPET装置と16列マルチスライスCTを組み合わせたPET/CTが主流で、がんの広がりや転移・再発の状況を的確に画像化できるようになりましたなのでPET/CTと言います。
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PET/CT検査は、検査の前に陽電子を放出する元素を組み込んだ薬剤(FDG)を注射します。すると薬剤が腫瘍に集まり、そこから出る微量の放射線をPET機器が検知することにより悪性腫瘍を発見します。画像では、ピカーっと光ります。
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どうして薬剤が腫瘍に行くかというと、薬剤にブドウ糖が入っているためなんですがん細胞は活発な分裂をするため、エネルギー源として正常な細胞の3~8倍のブドウ糖を消費しますから、ガン細胞に選択的に集まるという仕組みです。(糖質摂りすぎが体によくない理由もこれで説明がつきます。)

PET/CTの特徴は
それまでの検査ではわからなかったがんや転移の部位を発見できる
たったの20分ほどで頭から大腿まで全身を一度に検査できる
痛みや不快感が注射くらいでその他ほとんどない
です。

PET/CT検査は、空腹の状態で行います。薬剤を注射した後約1時間横になり、薬剤が身体中に回るまで待ちます。そして検査開始。機械の台の上に寝てるだけなので何もしません。結果はある程度その場で分かるのですが、専門のドクターに画像を診てもらい、約1週間できちんとした結果が出るそうです。

PET/CT検査に使用する薬剤は、炎症などがん以外の病気の場所にも集積するので、パーフェクトではありませんが、かなり細かいところまで診ることができる検査です。

ここで、日本とオーストラリアの医療制度を比べてみたいと思います

オーストラリアはGeneral Practitioner (GP)という主治医制度をとっています。何があってもまずかかるのはGP。GPの判断で専門医が必要だとなれば、紹介状が出されます。紹介状をもらったら、後は自分で施設に電話をかけて予約を取ります。紹介状がないとダメだし、その予約がなかなか取れないことも多いので待ち時間が多いのも難点その後、結果を聞くために再度GPに予約を取ります。行ったり来たりの長―い道のりですPET/CTだけではなく、血液検査や超音波検査なども同じです。紹介された専門医が合わないと思えば、セカンドオピニオンとして別のドクターに意見を求めることもできますが、日本と比べて自分で医療を選ぶ自由は少ないという印象です。癌が疑われているのに、予約を取ろうとしたら検査が3か月後…なんてことになったらその間気が気じゃありません。

オーストラリアでPET/CTは、痛みや何かしら癌の疑いがある場合に使います。なのでGPからの紹介状が必須です。予防医学という視点があまりないのです。日本では癌が疑われれば、多くの場合健康保険が適用されます。3割負担で3万円程度の自己負担。オーストラリアでの自己負担は、がんの種類にもより様々です。

日本の良いところは、実費検診ができることこれってすごいなぁーと思います。10万円ほどで全身を調べることができます。

しかも、早い。

全てにおいてスピーディー。

受付の方をはじめ検査技師さんの丁寧な説明と対応に、しみじみと感じた日本のホスピタリティーの凄さ!あんなに深くお辞儀をされると、慣れていない私は申し訳なく思ってしまうほどです

海外からお客さんが検査を受けるために来日するという「メディカルツーリズム」が一時期流行したのも納得できます。

「予防医学」って非常に大事な考え方で、事が起こる前にするもの。何かあってからでは遅いんですよね


ブログを書きながらも結果にドキドキですが、今回受けることができて良かったです。


追記

決して、オーストラリアの医療を悲観しているわけではありません。

オーストラリアは移民の国。世界各国から来た腕のいいドクターも沢山います。様々な患者を診ているからこそ、視点が違うし経験値も多い。

移住してから、日本ではわからなかった(診断されるまでに至らなかった?)私の卵巣の病気、そしてIBSが発覚して最新の栄養学を学ぶ機会を与えてくれたのも、アレルギー治療に挑戦できたのもオーストラリアに来てからです。

 

ただ、早期発見や治療スピードとなると、日本の医療システムのほうが勝っていると思います。オーストラリアでは自分が気を付けてあげないと、気づくタイミングを逃してしまう危険性が大きいと思います。


以上、PET/CT検査を通して見た医療制度の違いでした。